アルコール依存症

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 やめる気が無いからやめられないと根性論で語られていたアルコール依存症ですが、今では脳機能の病気であることが分かっています。飲酒することで報酬系と呼ばれる部分に異常が生じ、飲むのをやめると気持ちが悪い、不快だという信号が出るようになるため、たとえ本人が心の底から飲酒をやめたくても、自力ではやめることが非常に難しい状態になります。以下の6項目のうち、3項目以上を満たす場合を依存症と診断します。

  • 強い飲酒欲求がある

  • 飲む、減らす、やめるなどのコントロールが難しい

  • アルコールを減らしたり止めたりしたときに手の震え、発汗、頻脈、不眠、嘔気嘔吐、幻覚や錯乱、興奮、不安、痙攣といった離脱症状が出る。もしくは調子が悪くならないように飲酒することがある

  • 以前より多く飲まないと酔わなくなる(耐性)

  • 飲酒時間や酔いをさますための時間が増えて、それ以外の楽しみや興味を無視しがちになる

  • 有害な結果が起きているのに飲酒を続ける

 

否認という問題

 自分が依存症であることを認めない心理です。大抵の依存症患者は否認をしてしまいます。「自分はアルコール依存症ではない」「酒の問題はない」「俺が酒飲みなら、みんな酒飲みだ」「友達はもっと飲んでいる」「依存症というほど問題は起こしていない」「眠れないから飲んでいる」「ストレスがあるから飲まざるを得ない」「酒を飲んで死ぬなら本望だ」「仕事の付き合いで飲んでいる」「やめたら楽しみがなくなる」など、多かれ少なかれ患者さんはこのようなことを心の中で思っています。アルコール依存症治療では、この否認という現象を克服していくことが重要になります。酒の問題に対して謙虚になり、治療に進めるようにすることが重要です。

 

薬は補助でしかありません

 残念ながらアルコール依存症を根治させる薬はまだありません。お薬は酒をやめ続ける手助けはしてくれますが、脳の異常そのものを治すわけではありません。お酒を飲まずに時間が経過すると、少しずつ脳内報酬系から異常信号が出なくなり、お酒を飲まなくても大丈夫という状態になります。お酒をやめ続けるための支援の一つがお薬です。断酒を継続するために入院が必要な場合もありますが、頻繁な診察や訪問看護の併用で入院せずに断酒できる人もいます。

認知行動療法が中心となります

 認知行動療法とは考え方や受け取り方を工夫することで、行動や感情を患者本人がコントロールできるようにするための治療法です。当院では神奈川県の久里浜医療センター病院に倣った断酒プログラムと、佐賀県肥前医療センター病院に倣った減酒プログラムを行っています。飲酒することを失敗とはとらえず、断酒や減酒を成功させるためのヒントが隠れていると考えます。飲酒をしてしまったことを非難することは意味がありません。次に繋がる対策をたて、次に活かせるよう支援します。

 

本人の気持ちは大変重要です

 アルコールは合法薬物ですので、たとえ依存症であることが明らかであっても、飲酒を強制的にやめさせることはできません。そのため本人の治療意思はとても大切です。アルコールをやめたり減らしたりするためには定期的な通院やプログラム参加が必要です。本人が治療を全く受けたくなければ継続した治療は難しいです。仮に治療を受けたとしても、プログラムの内容が身に付きません。少しでも疑問があれば無理に治療を受ける必要はありません。納得できるまで外来で話し合って、それからどうするかを決めましょう。

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