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パーソナリティ障害(人格障害)

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考え方、感じ方、反応の仕方、人とのかかわり方などが大多数の人と異なっており、仕事や対人関係がうまくいかない状態になります。半分は遺伝、半分は環境が原因となって生じると考えられています。通常は自分の思考や感情に対する困り感はなく、自分の行動が引き起こした苦痛な出来事を理由に受診します。

 

診断

パーソナリティ障害では自己同一性の問題と対人関係機能の問題が見られます。

自己同一性の問題:自分がどのような人間なのかはっきりしない、価値観や目標、外見などが一貫しない。

対人関係機能の問題:他人と親密な関係が維持できない、感情に鈍感。

 

そのため、以下の条件を満たすことが診断基準となります。

・認知(自己、他者、出来事を認識、解釈する方法)、感情性、対人関係機能、衝動制御のうち2つ以上の点において、柔軟性を欠く持続的なパターンの不適応的な特性が広汎にみられる。

・不適応的パターンから生じた著しい苦痛または機能障害がみられる。

・そのパターンが比較的安定しており、若年時からみられる。

・他の精神疾患、薬物、外傷などで上が説明できない。

 

多くの患者さんは自分の問題に理解が乏しいため、診断するためには本人以外からの情報を集めなければならないことも多々あります。人口の約10%が何らかのパーソナリティ障害を有していると言われており、珍しいものではありません。加齢とともに軽減する傾向があります。(強迫性、統合失調型を除く)

分類

類似する特徴に基づいて3群に分類されています。

 

A群 奇妙で風変わり

・妄想性パーソナリティ障害:他者を信用せず、根拠が不十分であっても自分に害をなそうとしていると考える。自分の疑念や考えを主張し続ける。

・シゾイドパーソナリティ障害:他者に無関心で交流を持たない。楽しさをあまり感じないように見える。

・統合失調型パーソナリティ障害:他者との交流は苦手で、普通の出来事を自分にとって特別な意味をもつものと誤って解釈する。自分に特別な力があると感じることがある。

 

B群 演技的、感情的、移り気

・反社会性パーソナリティ障害:他者を軽視し自分の利益のために違法行為、だまし、搾取、無謀な行為を行うが良心の呵責を感じない。

・境界性パーソナリティ障害:見捨てられることを極端に避け、死に物狂いの努力をしたり、他者が面倒を見てくれるよう仕向ける形で自殺のそぶりを見せたりする。

・演技性パーソナリティ障害:自分の身体を利用して他人の注意をひくために誘惑的または挑発的な行動をする。関心を維持するために服従的に行動することもある。

・自己愛性パーソナリティ障害:優越感を維持するために大げさになったり、褒められることを求めたりする。他者を低く評価する傾向がある。

 

C群 不安や恐れが強い

・回避性パーソナリティ障害:拒絶、批判、屈辱を嫌い社会参加や対人関係から逃げる。

・依存性パーソナリティ障害:面倒を見てもらいたい欲求が強く、服従的でしがみつくような行動をする。

・強迫性パーソナリティ障害:物事をコントロールしたい欲求が強く、完璧主義になったり、ルールにこだわったりして際限がない。

治療

主な治療法はお薬ではなく患者さんを改善へと導いていく精神療法となります。治療の目的は、患者さん自身の苦痛を軽減すること、問題は自分の中にあることを理解できるようにすること、不適切な行動を減少させること、考え方や感じ方の癖を自覚してパターンを変えていくことです。

メッセージ

 自分の周りで生じる問題が、誰かのせいで起こっているのではなく、自分自身の考え方や感じ方、ふるまいで生じていることを理解しなければ治療が難しいです。そのためには患者さんの問題を見ないふりしたり、尻ぬぐいをしたりするのではなく、自分の言動には責任を取ってもらう態度が必要と考えています。問題のあるパーソナリティを修正するには年単位の時間がかかりますので、根気強く治療に臨む必要があります。

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