精神科の訪問看護とは
病気や障害を持ちながらも患者さんが自宅等で快適に過ごすために、看護師がお宅に訪問して健康状態に合わせた看護を行うサービスです。健康状態や病状悪化の予防と評価、療養上の助言、医師から指示があった場合は医療的な処置や服薬支援、リハビリテーション、緊急時の対応や関係者との連携などを行います。
訪問看護サービスを提供する事業所形態
精神科医療機関(クリニックや病院)に所属する看護師などが訪問看護サービスを提供している場合と、医師からの指示に基づいて外部事業所(訪問看護ステーション)がサービスを提供する場合があります。
精神科での訪問看護の重要性(※個人的見解)
訪問看護が入ってくれていると非常に助かることが多いです。沢山あるので段落を分けて具体的になぜ重要か記載します。(順番には特に意味はありません)
①服薬管理
精神科では服薬が非常に大切になる場合があります。しかし、病気の影響などでお薬を正しく飲めなかったり、病識(自分が病気であること、病気に対する理解)が乏しくて積極的に内服してくれなかったり、お薬を正しく飲んでもらえずに病状が悪化することが多々あります。家族に管理をお願いする場合もありますが、家族には自分の生活がありますし、ついうっかり忘れてしまうこともありますので、看護師に任せられると便利です。飲み忘れや怠薬があった場合は訪問看護が報告をしてくれます。
②普段の様子観察
診察は多くても週1回しかありませんので、患者さんの普段の様子を正確に把握することは困難です。診察と診察の合間に訪問看護がご自宅での様子を見てくれると、診察室では把握できなかった問題や困りごとが見つかる場合があります。主治医には言いにくいことでも看護師には言える場合もあります。病状が悪くなりつつある時も早めに発見することができます。必要があれば特別訪問看護指示で最大週5日のサービスが受けられる場合があります。
③状態悪化時の受診勧奨
普段は真面目に通院している患者さんでも、精神症状が悪くなると病識が乏しくなり、病院に行きたがらない方がいらっしゃいます。そのような時に訪問看護が入っていると、一緒に病院まで付き添ってくれたり、場合によっては訪問診療のための手続きを取ってくれたりします。
④夜間の対応
これは対応していない事業所もありますが、24時間対応をしている事業所もあります。クリニックは当直医師が居ないため、調子が悪くなった時に対応ができません。病院であっても入院が必要な状態でなければ夜間は対応しないことがほとんどです。24時間対応の訪問看護が入っていると、電話で相談ができたり必要時には臨時の訪問をしてくれたりと、手厚いサポートが受けられます。(やれることには事業所ごとに差があります)
⑤家族関係の調整
患者さんのみならずご家族にも支援が必要な場合があります。例えば病気に対して不安を抱えていたり、患者さんとどう接して良いか分からなかったり、つらいと思っていても相談できる場がなかったり、喧嘩ばかりして家庭内がぎくしゃくしたり。訪問看護はご家庭にお伺いしてサービスを提供するため、家族の支援もできる場合があります。
⑥必要なサービスを提案
本当は日中に活動できる場があった方が良いのではないか、将来を考えて生活訓練が必要ではないか、食事や入浴などに介護サービスを入れた方がいいのではないか、家族の負担を軽くするためショートステイを利用したらどうか、など生活状況に即して必要な支援を提案し、主治医や支援員との橋渡しをしてくれます。ご自宅での実際の生活をみて提案してくれる人がいることは重要です。
⑦信頼関係の構築
どうしても病院に行きたくない方に往診をしても、すぐには治療を受ける同意が頂けない場合があります。そのような時に一旦は家族との契約で訪問看護を導入し、根気強く訪問看護を繰り返して患者さんとの信頼関係を構築した後に、やっと治療が受けてもらえた、というケースがあります。もし訪問看護がなければ、おそらく治療には繋がりません。治療に繋がらない間も家族の相談を聞いたり助言をしたりして、家族の支援をしてくれます。
訪問看護を利用するためには主治医からの指示が必要です
訪問看護は医師の指示のもとに行うことになっているため、主治医の指示書が必要です。サービスを受けるメリットが大きいかもしれない、と思う方がいらっしゃれば主治医に相談してみてください。